1943年(昭和18年)6月10日の午後。 克義、ハレ、潔、ハマ子の4人が、約5キロ離れた乳呑路まで歩いて...
1943年(昭和18年)4月。雪も流氷もまだあるが、礼文磯国民学校も新学期が始まった。潔は2年に、ハレは4年...
1943年(昭和18年)1月下旬のある晩。 「さあ、みんな行くよ」 はなが子どもたちに号令をかけた。 ...
12月27日、潔ははなと買い物に出た。 年越しの準備のため、毎年この日にはなは買い物に出かける。はなは背中...
10月いっぱいかかって昆布の出荷が終わり11月に入ると、吉五郎は土間の片隅に積んであった俵を引っ張り出した。...
1942年(昭和17年)の秋、礼文磯国民学校では極秘のプロジェクトが進行しつつあった。 スタートしたのは...
北海道の東に浮かぶ国後島は、本州、北海道、九州、四国、東隣の択捉島に次いで、日本で6番目に大きい島だ。
実はもう1人、近所には潔と同世代の子供がいた。1年上の真木尚武だ。尚武は真木午之助の直系の孫だった。裕福で、...
「あんちゃ、ちょっとこれ聞いててくれよ」 ある日、6年生の克義が良雄に頼んだ。 「じんむ、すいぜい、あん...
夏のある晩、酔って機嫌のいい吉五郎がはなに鉛筆と紙を持って来させた。 海が荒れて翌日も昆布漁ができそうにな...
朝6時。潔はいつものように目が覚めた。 南向きの窓ガラスから光が差し込み、部屋はもう明るい。一緒に寝ていた...
1942(昭和17年)7月10日。 爺爺岳の南西側の裾野にある留夜別村チフンベツの老登山神社...