「あかいも」とは「紅丸」のことだった?

最近気づいたことがありました。

「Tiatiaの子」では、国後島の生活に欠かせない食料としてジャガイモを挙げています。そしてそこでは「芋餅」を作って食べていた、と記しています。

第1章「礼文磯」の6「花咲蟹の夜」に、このように書きました。

 島の主食は何といってもジャガイモだ。

……(中略)……

 そのまま煮て塩味で食べたり、煮物に入れたりするのが基本だ。特に昆布漁で忙しい夏の昼飯は、ほとんどが煮て塩をかけただけのものだった。

 昆布漁がない時期で、少し時間に余裕ができると、はなはよく「芋餅」を作ってくれた。

 芋餅はジャガイモの中でも「赤芋」と呼ばれる種類でつくる。ゆでて、つぶして、冷やすとコロコロと固まって餅のようになる。それをちぎって皿に取り、砂糖醤油を付けて食べる。冬のお昼などに結構出てきた。

この「赤芋」についてです。

新型コロナで自宅にいることが多くなり、時に焼き芋を作ったりしていました。で、芋のレシピや関連サイトを見ていたら、「じゃがいも図鑑」というwebページの「ベニマル」という項目に以下の記述があったのです。

赤い皮に肉色が白。高でん粉の粉質のいもで,ベニアカリと似ています。
昔から長く栽培されている品種です。
マッシュポテト、コロッケ、に適しています。
でんぷん質なので、いも餅を作るとき、片栗粉の量が少なくてすむので、よりおいしいいも餅が出来上がります。

ハッとしました。これ、例の「赤芋」ではないかと。

父がまだ存命だったころ、岩手で両親と話をしていて「芋餅」の話になったことがありました。

あの芋餅を食べてみたい、と言った私に、「昔、作ってみたことがあったけど、ジャガイモじゃあ餅のようには固まらなかったよ」と母が言い、それに対して「それは赤芋じゃなかったからだ」と父が言ったのです。

一般的な芋餅は、ふかしてつぶしたジャガイモに片栗粉を混ぜて形を整えて焼くのが普通です。でもそんな面倒なことはしなかったと父は強調していました。

赤芋の芋餅って本当にあったのか、私は長らく疑っていました。

そこに今回の「ベニマル」です。さっそくネットで検索してみました。

ありました! 1950年設立という歴史のある財団法人「いも類振興会」が事務局を務める「日本いも類研究会」のホームページの「じゃがいも品種詳説」というコーナーに「紅丸」として説明がありました。

それによると、「紅丸」は

  1. 丸々として大きく、皮色が紅
  2. 第二次世界大戦の肥料、農薬、労力のない最悪の条件に耐えられる品種として澱粉原料用品種の大部分は「紅丸」に置き替わり、食用にまで栽培された
  3. 現在栽培されている品種の中で、上いも収量は最も多収で、長年の努力にもかかわらず、この品種の収量性にまさる品種は育成されていないとされる
  4. 澱粉特性は澱粉原料用品種の中で最も優れている。肉質はやや粘質で、食味も特に優れているわけではないが、貯蔵中に還元糖が増加し甘味が増して食味が良くなる。

というものだそうで、これはまさに父の言っていた「赤芋」の条件にピッタリです。

この「紅丸」を使った「芋餅」、ぜひ作って食べてみたいものですが、同ページによると

平成26年(2014)には(作付面積が)200haを割り、北海道の主要品種としての作付面積の公表対象から外れた。
「紅爵(こうしゃく)」の名前で、「伯爵」とも呼ばれる白皮の「ワセシロ」との紅白セットで食用として売られることもある

ということで、簡単には手に入るモノではなさそうです。残念。