第5章 生と死 2 吉五郎 Posted on 2018年3月1日 1950年(昭和25年)が明けた。 正月早々、伸義は北海道に出稼ぎに行った。 国後・礼文磯で近所に住んでいた人が、釧路で船を持って漁師をしていた。そこから働かないかと声がかかったのだった。一旦北海道に渡ると年末まで...
第4章 岩手 5 新憲法 Posted on 2018年2月7日 1949年(昭和24年)春、一家は晴間沢の金松方の作業小屋から、潔が一時世話になった長倉の文治郎宅に引っ越すことになった。 当時の東北では、春になると多くの農家で養蚕が始まる。 養蚕は場所をとる。このためどの養蚕農...
第4章 岩手 4 吐血 Posted on 2018年1月31日 「おい、吉五郎が血さ吐いで倒れたんだとよ」 1948年(昭和23年)11月末のある晩、潔は文治郎から吉五郎が吐血したと知らされた。 野外での作業を手伝っている時、突然血を吐いてそのまま倒れたのだという。一緒に作業を...
第4章 岩手 3 みんなで働く Posted on 2018年1月20日 1948年(昭和23年)9月26日。 岩手県戸田村に引き揚げてきた翌朝、目を覚ました澄子たちはびっくりした。 赤、黄、白、ピンク、藤色、紫… 外に出てみると、家の周りや隣の畑が、色とりどりの満開の花で溢れているの...
第4章 岩手 2 根室か戸田か Posted on 2018年1月10日 潔は後で知ったが、国後から引き揚げ直後、つまり1948年(昭和23年)9月の吉五郎一家には大問題が持ち上がっていた。 函館に着いたはいいが、さて、ここからどちらに向かうのか。北海道・根室か、岩手県・戸田村(現在の九戸...